就業規則の作成で気を付けること③

横浜市青葉区の社労士の澤辺です。

就業規則の作成で気を付けることシリーズ、「言葉の定義」「出来ない約束はしない」に続いて、3回目の今回は「就業規則は作っただけでは意味がない」というテーマでお伝えします。

就業規則の作成で気を付けること1回目はこちら
就業規則の作成で気を付けること2回目はこちら

では、内容に入っていきます。

就業規則は、その存在だけでは意味がないとまでは言いませんが、ほとんど意味をなしません。
どういうことか???

就業規則の作成は、ざっくりと

原案作成→意見の聴取→労基署提出→いつでも閲覧可能状態にしておく(周知させる)

です。

最後の「いつでも閲覧可能状態にしておく(周知義務)」がポイントです。

御社の実態に沿った素晴らしい就業規則が完成したとします。
労基署に提出もして、行政手続きも完璧!・・・と思いきや、最後のフローである周知義務が抜け落ちてしまっているケースが散見されます。

就業規則の効力が発生するのは、会社として就業規則を完成させた日でも、就業規則に記載されている施行日でも、労基署に提出した日でもなく、周知させた時からです。

ちなみに、周知方法は以下のいずれかによって行うようにして下さい。(労働基準法第106条)
簡単に言えば、労働者がいつでも見たい時に見られるという状態です。
北海道労働局に分かりやすいページがありました。
※下にスクロールして頂きますと、周知方法についての記載があります。

(1)常時各作業場の見やすい場所に掲示する、または備え付ける。
→「各作業場」です。本社だけではなく、支店ごと、店舗ごとにプリントアウトして、「みんな」が閲覧可能にしておきましょうということです。例えば、課長の引き出しに入ったままとか、ロッカーにあるけどカギがかかっていて、特定の人しかそのカギを扱えないというのはダメでということです。(ありがちです。)

(2)書面で労働者に交付する。
→特に解説不要ですが、各労働者に渡してしまってもOKですよ、ということです。

(3)電子的データとして記録し、かつ、各作業場に労働者がその記録の内容を常時確認できるパソコンなどの機器を設置する。
→(1)のように、必ずしも紙媒体でなくても良いです。PC上からでも見られるようにしておけばOKです。
ただし、特定の部署・役職の人しか見られないというのは周知させているということにはなりません。「みんな」が閲覧可能という状態を作って下さい。

せっかく作った就業規則をしっかりと活用するためには、まずは効力を発生させないことには始まりません。
就業規則が既にある場合は、周知出来ているかの確認を、これから作る場合は、周知義務に対する意識を持って頂くようにお願いいたします!

ご質問はこちら